逆さ稲荷 郷内心瞳


ともだち


病院と聞くと夕暮れ時から夜にかけての霊を想像してしまう。

郷内氏が出会った少年の霊は日中。


本の中だけで考えるなら少年はともだちが欲しくて遊び相手を探していた、波長が合う郷内氏と出会いうれしくてたまらなかった。

ところが、ともだちではないと言われ消えてしまった切ない体験になる。


私が怖さを感じたのは、周りには看護師や医師、患者もいただろう、走り回ったり大声を出している郷内氏を見たのなら注意をされてもおかしくはない。

なぜ誰もなにも言わないのか、もしかしたら実際には郷内氏も少年といるときは周りには見えていないのではないか。

服装を覚えているなら看護師らに聞いてみてもよかった気もする。


足を引きずってひとりで必死に走っている姿を想像すると鳥肌が立った。




私には息子がいる。

二男が小さい頃に部屋の壁の一点を見つめ笑っていることがあった。

それも一度ではなく保育園の先生から○○ちゃん時々壁みて笑うんですけど、お母さんなにか見えるんですか?と言われたことがあったけどあまり気に留めていなかった。

でも先生から言われると気になりだして、ある日笑い出した時に壁を恐る恐る見たんだけど何もなくその時はきもちわるいな、と感じつつも、大きくなるにつれそういうこともなくなっていった。

今思うと誰かと心で会話していたのかな?

当たり前だけど本人に聞いても覚えていないらしい。


よごれた心の大人たちには見えない何かが澄んだ心の子どもたちには見えることがあるのかもしれないな。