ピクニックへ行こう
皆でテレビを観ながら夕食を食べていたときのこと、次の日曜に家族でピクニックに行きたいとナツは母に言った。
一同賛成であった。
「お母さん、苺も入れてね」
いつ頃かナツは苺が好物になっていた。誕生日のケーキを用意したときも、苺の大きさで駄々こねるほどである。
「マチコさん、私は栗を入れておくれ」
お祖母ちゃんのサチコが言った。
「お父さんは?」
マチコが訊くと、
「んーそうだな──ツマミでいいよ」
「はいはい」
マチコはわかりましたのように返事を返すと、
「ツマミって?」
ナツは母を見て訊いてみた。
「そうねぇ、今晩の残り物でいいってことよ」
「ふーん」
ナツはどっちともつかずの返事を返すと、
「おまんは好きなもんないんかえ?」
サチコは息子に向かって若干無表情ともとれる様に言うと、
「母さんには俺の好きなもんわからんじゃろ」
「なーにがわからんじゃ、おまんのことはなんでも知っとるが」
「んじゃ、当ててみ」
「酒じゃろ酒」
少しの沈黙のあと、皆吹き出すように笑い転げた。
「お祖母ちゃんせーかい」
ナツが口火を切ると、自分が言っときながらもサチコが一番受けていて笑いが止まらなくなった。傍ではマチコがハニカミつつも必死に笑いを堪えている。
息子のタツヤはというと、ブスッとしたお地蔵さんのような顔をしてテレビの方をみていた。
「わたしは何にしようかなぁ?」
マチコが不意に言った。その視線は旦那に向いている。暫く考える素振りをし、しかたないなとタツヤは口を開いた。
「チョコだろ?」
それを聞いたナツとサチコは意味深な表情をしていたが、マチコは幸せそうだった。
この部分が上手いなぁ〜って